はじめに

最高の才覚は、事物の価値をよく知るところにある。 - La Rochefoucauld

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■CからC++へ

C++(シー・プラス・プラス/シー・プラ・プラ)の説明をするには、まず、Cの説明からしなくてはなりません。Cは1972年にAT&Tベル研究所で開発されたコンピュータ言語です。開発者はBrain Kernighan(ブレイン・カーニハン)とDennis Richie(デニス・リッチー)で、その頭文字を取ってK&R Cと呼ばれたりします。そして、Cの開発された環境であるUNIXには当然のごとくCが付属していたので、UNIX上では自由にCを使うことができました。また、このUNIX自身もCで書かれていたのです。このコンパクトでアセンブラのように小回りの利くCは瞬く間に広まっていきました。

しかし、Cが多くの人に使われるようになると、Cコンパイラを作っている会社は便利な機能を使えるようにと会社独自の機能などを付けるようになりました。確かにそれらの機能には便利なものが多かったのですが、会社ごとに仕様が異なることになり、互換性がなくなってしまったのです。そこで、この状況を打開するため、1987年にアメリカ合衆国規格協会(ANSI[アンシ])が標準規格を制定しました。これは一般にANSI Cと呼ばれています。

その後もコンピュータの世界は目覚しく発展し、大規模なソフトウェア開発が行われるようになるとともに、多くのプログラミング技術が生み出されました。特に、オブジェクト指向プログラミングは大規模なソフトウェア開発や再利用において、非常に有効なものでした。そこで、Bjarne Stroustrup(ビョーン・ストラウストラップ)がCをもとにこれらのプログラミング技術を加えた改良型CであるC++の設計を行いました。

今さら説明するまでもありませんが、このC++は爆発的に利用され、今日では様々な環境で多くの人々に使用されています。

■C++言語研究講座における学習方法

このC++言語研究講座では、全体をいくつかの章で分け、その章についてもいくつかの節に分けて構成しています。そして、その節の中ではそれぞれのテーマにしたがって解説しています。

解説では、以下に示すようなプログラムリストを示し、それを中心に述べています。

List 0.1 プログラムリストの例

#include <iostream>
using namespace std;

int main()
{
    cout << "Hello, world!" << endl;

    return 0;
}

文章だけで述べるよりも、プログラムリストのような実例を数多く示すことによって理解を深めることが出来るでしょう。また、リストのタイトルはソースファイルにリンクされていますので、実際にコンパイルすることも簡単にできます。因みにソースファイルで使われている漢字コードはシフトJISです。

また、解説ではしばしば囲み記事が出てきます。これはトピック的な内容などが主で、それまでの学習内容よりも少々高度な内容を含む場合があります。飛ばして読んでもC++の勉強には差し支えありませんが、そこで述べられていることは、C++のニュースグループやメーリングリストでも時々話題になるような内容ですので、よりC++を理解したい方は読まれることを推奨します。

囲み記事の例

囲み記事ではC++に関するトピック的な内容を扱います。

このように、最初から順番に進むことでC++を理解できるような構成にしていますが、自分の苦手な分野から読まれても構わないでしょう。そして、わからない事や疑問に思ったことなどはソフトウェア開発掲示板の方にお気軽に書き込んでください。


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