随想録 2000年6月


6月29日 複雑系

最近、「複雑系」という科学について興味を持っている。というのも「複雑系 - 科学革命の震源地・サンタフェ研究所の天才たち - 」M・ミッチェル・ワールドロップ(新潮社)を読んだからだ。高校生の頃に、「カオス - 新しい科学をつくる - 」グレッグ(新潮社)を読んだときにも「複雑系」について大きな関心を覚えた。

「複雑系」には科学の分野を超えた統一性を見ることができる、生命の起源やら、宇宙の在り方、社会経済など、どれについても当てはまるのだ。私の扱っている分野は生物物理化学とでも呼べるものだ。生物・物理・化学が全部入るなんて節操のない、と考える人もあろうが、「複雑系」はもっと大きな枠組みを持っている。私はそこに興味を持ったのかもしれない。大昔は、哲学や数学などが一緒くたに扱われていたことを思えば、そうおかしなことでもないだろう。

この「複雑系」を知って、私は、科学者としてできるだけ広い視野を持って、これからの研究をしていきたいと強く感じた。

6月18日 歌舞伎の楽しさ

久々に歌舞伎座へ歌舞伎を観に行った。六月大歌舞伎の夜の部で、演目は義賢最期、道行恋苧環、縮屋新助の三つである。以前に義賢最期は観たことがあるのだが、何でも仁左衛門(孝夫)の義賢が凄く良いというので行ったのだ。毎度の事だが、動きの静かな退屈な場面では眠くなる。しかし、派手な立ち回りになるとやはり楽しい。

私は、歌舞伎は日本版ミュージカルのようなものだと思う。劇としてのリアルさはあまりなく形式美が尊重されるようだし、人物や背景には日本的で煌びやかな美しさがあるように感じられるからだ。

ここまで読んで、あんたはわかっていないと言われるかもしれないが、それはその通りだろう。私の歌舞伎についての知識は素人同然なので、何がどう楽しかったり、どこがどのように美しいのかなどと尋ねられてもうまく答えられない。ここでは、素人が素人なりに感じたことを述べたまでなので、そこのところはお間違えないようお願いしたい。

6月5日 TRPGの復活

中学生の頃からの友人の結婚式に出席した。その頃に一緒に遊んでいた仲間全員が久々に揃ったということもあって会話も弾んだ。えっ? 何の遊び仲間かって? それは、TRPGの遊び仲間である。

TRPGと聞いても、何の事だか分からないかもしれないが、RPGなら知っている人も多いだろう。テレビゲームなどでお馴染みのドラゴンクエストやファイナルファンタジーなどのロールプレイングゲームの略称だ。では、TRPGのTとは何か? これはテーブルトークの略であり、TRPGとは、数人の参加者がテーブルを囲み、紙とペン、それにいくつかのサイコロを使って、決められたルールに沿って、会話により進行する知的ゲームのことである。そして、このTRPGこそが今日よく見かけるテレビゲームなどのRPG(いわゆるコンピュータRPG)の元祖なのである。

もともと、RPGと言えば、TRPGを指すものであった。しかし、日本ではコンピュータ上で行うRPGが爆発的に普及したので、RPGと言えば、コンピュータRPGを指すようになってしまった。別にこのこと自体を非難するつもりはないが、本当の意味でのRPGの楽しさがさほど普及しなかったのは残念なことである。

ここでは、TRPGについて、これ以上は説明しないが、結婚式に出席した友人の一人から、「馬場秀和ライブラリ」というウェブサイトの「馬場秀和のRPGコラム」というコーナーについて教えてもらったので、興味を持った方は是非そちらを読んで欲しい。ここには自分が感じていたRPGについて大変よく書かれており、共感できるところが多数見受けられた。これを読んでいたら、久々にTPRGをプレイしたくなってしまったのも事実である。



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